写経のように書く
ブログをしばらく書いていると、ネタが尽きてきたり、もっとちゃんとした
ことを書かなければという意識が出てきたりして、更新の割合が
減ってくる、という経験をお持ちの方は少なくないと思います。
私も例にもれず、書くからにはできるだけちゃんとしたものをと思い、
そうするとなかなか書けなかったりすることがあります。
ところが、『文書は写経のように書くのがいい』香山リカ著を
読んで、定期的に書く、という行為自体にもっと重点を置いた方が
いいのではないかと思えてきました。
「書きたいことは誰の心の中にも無尽蔵に詰まっている。
あとは、心の中の宝の山からどうやって一番書きたいことを引き出して
実際の文章に書き換えるか、という問題なのだ。」
「写経のお手本を写すようにとにかくサクサクと書いていく。サクサクと
書いていると、いつのまにか頭の中に目に見えないレールが敷かれていて
書き手はそれに乗っかることで、ますますサクサクと言葉が出てくるように
なる。」
・・・と、「自分のために書く」書き方は、サラサラ書くことが大事と
香山さんは言います。
しかし、彼女は「自分のために書く」ときだけでなく、実は、雑誌連載や
単行本の執筆時の、多くの人に向けて書くときも、この方法を
使うことが多いそうです。
1 まず思いついたことを言葉にする
2 考えが詰まってきたら、「具体例」を書く
3 具体例を書いたら、次はそれに対する自分の感想、批判を加える
4 上記の順序で言葉をつなげていくと、そのうち流れは、それとなく
一方向に向かって流れ始める
というのが、そのサラサラ書く具体的な方法です。
今、私は実はこの方法でこの文章を書いています。
まず、思いついたことを書いてみました。そして、具体的に香山さんの
本にあった具体例を書いています。
ここまで、書くと、感想が自然と浮かんできます。
書くということに対して、もっと自由に伸び伸びとした気持ちで向かった
方が書くことが喜びになる、というのを感じています。
まずは、最初の一言を書く。一言書いていると次の連想が生まれる。
その具体例を挙げながら深い考察に入る。そして、その文章の
本来言いたかった結論に辿り着く。
この方法は、最初に理論的にガチっと構造を作って、組み立ててゆく
文章の書き方とは、相反するやり方かもしれません。
しかし、理論派ではない人には、取り掛かりやすい方法では
ないかと感じました。
この方法で、ある程度文章を作って、それから推敲を重ねていく、
より自分の伝えたかったエッセンスを、より人に伝わりやすい表現に
変化させていく、というやり方は、私にすんなりと入ってきました。
映画を見てもストーリーも映像も忘れてしまうけれど、数学の定理は
何年たっても忘れない、という人もいれば、
数式のことはすっかり忘れても、映画を一度みれば、ストーリーや画面を
よく覚えている、という人もいます。
自分に合ったやり方を見つけ、そのやり方を磨いていくことが
大事な気がします。
「とにかく一定のペースで日々、一定の時間、書くことを続ける」
ということをやってみて、そのやり方に磨きをかける、ということを
やってみよう、というのがこの本を読んでの私の結論です。