生きる意欲

昨日、NHKの番組「プロフェッショナル」を見て、
すし職人、小野二郎さんの82歳とは思えない、シャキンとした立ち姿、
話し方に、身の引きしまる想いがしました。


「もっと美味しくできるのではないかって考えるのって
楽しいですよ。一生探求していくでしょうね。」

と、すしをおいしく握ることへの情熱がいくつになっても
衰えることなく、その情熱が毎日を充実させているように感じました。



別の番組でも、高齢の方の生き生きした生き方に魅了された
ことがあります。

演出家(当時74歳)の蜷川さんに「新しいものに挑戦しなくても
もういいのではありませんか?」とインタビューアーが尋ねました。

「空気が一瞬にして凍るような、爆発するような舞台を作りたい
んですよ。自分でも驚きたいし、周りも驚かせたい。」

心がワクワクするような舞台を作りたいという情熱が
ほとばしっています。




仏教の本などを読んでいると、欲を捨てる、執着を捨てることの
大切さが説かれており、その意味もなんとなくですが、わかります。

しかし、仏教が言っている欲と、生きていくための意欲とは
同じことなのかしら?もしかしたら違うことなのでは?と
感じることがあります。


82歳の小野さんや74歳の蜷川さんが、
生きる意欲に満ちている様子を見ると、
これはとても素敵なことであって、手放すようなことではないと
思えるのです。


87歳の瀬戸内寂聴さんは、次のようなことを言っています。

「もっといい小説が書けるようになりたい。自分が憧れている
質の高い小説を書きたい。それを支えるバックボーンが作りたい。
そういう想いで出家しました。

煩悩はなくせません。ものを書きたいという想いは今でも捨てられないのです。」



ビジョン心理学マスタートレーナー栗原英彰さんが開発した
「成功知能指数」SIQ検査の中に「意欲」という項目があります。

その意欲とは、「100%集中して参加する」能力のことを言います。


何かをしながら別のことを考えてしまうのではなく、
何かをしているときはそれに100%集中できる意識

その状態を支えるものは、迷いのない心、目の前のことに集中できるほどの情熱
ではないかと私は思います。



目の前のことに100パーセント集中できる意欲

これがあれば、いろんなことを発見したり、学ぶ楽しさ・生きる楽しさを
見出だしたり、心が惹かれてやまないワクワクするような気持ちが
湧きあがってきます。


もっと工夫しよう、もっといい表現があるのではないか、
もっと美味しくできるのではないか

そういう問いかけの答えを求めて取り組んでいるとき、人は生きる意欲に
満ち満ちてきます。



自分へ問いかけてみる。

今日、何に焦点をあてて過ごそう?
今日、工夫できることは何だろうか?
今日一日、どうやったら楽しいワクワクとした気持ちになれるだろうか?

そういったことを日々やっていくと、生きる意欲が引き出せるのではないで
しょうか。



高齢化社会になり、その中で生き生きと生きていらっしゃる高齢者の姿は
とても励みになり、現在の自分を奮起させてくれるものがありました。